ロボットの知能と身体性

二足歩行ロボット
By: Luis Pérez
この記事は約4分で読めます。

この投稿は大学にいた頃のレポートの一部です。

背景:技術的特異点

人工知能が人間知能を超えてしまい,人間が技術開発の予測ができなくなる時間的地点は技術的特異点と呼ばれている.この技術的特異点に関して,以下のようなことが多く議論されている.

・知能の定義

・技術的特異点が将来に置いて存在するか

・映画トライセンデンスにあるような人間と人工知能の融合の可能性

・技術的特異点後の世界の予測

・技術的特異点に達することの危険性

ある考えではムーアの法則により,2045年頃にCPUの計算能力が人間の計算能力を超えるとされる.それにより2045年には技術的特異点に到達するだろうなどの予測がなされている.私はこの2045年頃に技術的特異点に到達するであろうという予測に対して否定的であるが,到達してほしいと願っている.

ロボットの知能

テーマである「ロボットの知能」や,背景で述べた技術的特異点で議論している知能とはすなわち人工知能であり,多くの人工知能の研究がこれまでになされてきた.付録に人工知能の歴史を簡易的に示す.内容自体は人工知能の歴史を調査することで,知能に対してのアプローチ/考え方を学ぶ.また,現在行われている人工知能研究の全体像を理解する目的で書いたものである.

付録の人工知能の歴史にあるように,本レポートのテーマの一部である「身体性」に関する記述はない.これは,知能と身体性はこれまでの人工知能研究ではあまり行われていないことを示す.私は概念を生成できる人工知能の制作をしようとした場合,身体性は必要だと思う.以下の章に妄想に近く論理の飛躍が多いと思うが,「3.概念の獲得」「4.身体性の必要性」を述べていく.

概念の獲得

なぜ人工知能に概念の獲得が必要かは,人間は概念を理解できるからである.よって,概念獲得こそが,人工知能が本当の意味での人工知能(強い人工知能?)になるものだと私は考える.そこで,概念とは何かを考えると,世界に実在している・あるいは存在していないすべてのものである(本レポートではフレーム問題や哲学的な話は置いておく).それらのものを表現しようとしたものが,付録にあるような知識表現に関する技術であると考える.集合論を基礎とした「意味ネットワーク」や概念化の明示的仕様である「オントロジー」などがある.私がこれらを十分に理解しているか怪しいが,これらは,知識表現に関する技術なので,人工知能が概念の獲得をしたとは言えないと思う.

そこで概念の獲得をどうやって行うかを考えたとき,プログラミングのコードそれ自体が概念ではないかと考える(知識獲得のボトルネックは置いておく).人間は概念を理解することができ,概念を作り出すことができる.現在は人間が概念を理解し,その概念でプログラミングコードを作り出している.つまり,コードは概念を示しているのではないかと思う.したがって,コーディングを自動で行える人工知能は概念を獲得したといえるのではないか?そこで,コーディングを自動で行うためにはどうしたらよいかということになる.

身体性の必要性

コーディングを自動で行うことを考える上で.コンパイラ・インタプリタや自然言語処理を参考にし,これらで人工知能を制作する(具体的にはプログラミングする)ためには,やはり何かしらの基準が必要だということに気付く.具体的には,「プログラミングを基本的な命令(条件分岐・反復・代入)に分けて遺伝的アルゴリズム的で入力に対して何かしらの出力を行う(あるいは行わない)ものを作ろうとしたとき,評価関数を書かなければプログラミングできない.しかし,評価関数を決定することはすなわち,何かしらの基準のもとで行っていることになる.」ということである.たしかに,評価関数を決定すれば,GAではヒューリスティックに解を見つけてくれる.すなわち,ここではプログラミングコードをGAで生成しているので,プログラミングで概念を生成したと言える.しかし基準を設定するということは,無限に存在する概念を生成する上で不都合である.大胆に言い換えれば,基準を設定すると,概念も決定してしまう.

そこで,基準/評価関数を動的に生成することはできないか?と考えた.そうしたときに,さらに基準を評価する基準が再帰的に必要になる.それを打破するものが身体性ではないか?と思っている.ここでいう身体性とは,「五感(視覚・聴覚・味覚・触覚・嗅覚)」および「人間の行える動作が可能である」などが一般的であるが,私個人としては人工知能がパソコンの中で存在してほしいので,「PCへの入力(キーボード・マウス・マイク・ソケット受信など)」および「PCが行える出力動作(音・ディスプレイ・ソケット送信など)」を身体性としてほしい.身体性を入出力として定めることで人間の現実環境に合わせた基準/評価関数を生成可能であると考える.したがって,身体性は概念獲得が可能な人工知能の制作に必要である.

 結論

より人間に近い人工知能の制作のためには,人工知能が概念を獲得する必要があるとし,概念とはプログラミングコード自体であると述べた.プログラミングコード自体をプログラミングするためにはGAでの例を挙げながら何かしらの基準/評価関数が必要であることを示し,基準を定めてしまうことが概念を決定してしまうこととほぼ同意味であることを述べた.それを避けるために,基準/評価関数を動的に生成することを提案し,そのためには身体性が必要であるとした.

コメント

  1. […] ロボットの知能と身体性※この投稿は大学にいた頃のレポートの一部です。 背景:技術的特異点 人工知能が人間知能を超えてしまい,人間が技術開発の予測ができなくなる時間的地点 […]

タイトルとURLをコピーしました